2020年7月、文部科学省は紙の教科書をタブレット端末などに取り込んだ児童用の「デジタル教科書」に関する会合を開き、2024年度に小学校で本格的な導入を目指し制度設計を開始しました。
ここではデジタル教科書のメリット・デメリット、今後の授業の在り方について記載します。
デジタル教科書とは?
従来学校の教科書と言えば新年度に紙で作製された本を大量に購入していました。科目ごとに教科書がわかれており、必要な授業に沿って必要な教科書をランドセルに入れて持ち運ぶことが普通でした。
デジタル教科書とは、従来紙に印刷していた内容をタブレット端末などを利用してデータとして利用することになります。
タブレット端末1台で全教科の情報を持つことができるので、タブレット端末1台あれば科目ごとの教科書を持ち運ぶ必要がありません。
デジタル教科書のメリット
教科書をデジタル化し、タブレット端末を利用して勉強する、、、慣れないと違和感もあるかもしれませんが、以下のメリットがあります。
教科書の持ち運びが不要
デジタル教科書は電子ファイルとしてタブレット端末にダウンロードするため、1台のだブレット端末に全教科の教科書データを保有することができます。そのためランドセルに重い教科書を入れず、タブレット端末1台入れておくだけで全教科に対応できるということです。
子供のランドセルを見ているといつも重そうだと思っていたものがデジタル教科書導入により少し解消できるのではないかと考えております。
ただし実習で利用するような書道セットや裁縫セットなどは従前どおり持ち運びが必要ですね。
忘れ物が減る
こちらは単純に1台のタブレット端末に全教科のデータを保有するため、国語だけ忘れる!などといったことは起きません。今までは学校行く前までに時間割と教科書を見比べて忘れ物チェックなどをしていましたが、教科書の忘れ物という意味ではタブレット端末で解決できるかと思います。
動画などもその場で見て学べる
従来の紙教科書ではできなかった、動画を利用した勉強方法です。
理科の実験などで多かった動画を使った勉強もタブレット端末を各自が持つことにより、手元で動画を確認し自分の見たいポイントを繰り返し見ることも可能となります。
最新情報をアップデートできる
紙の教科書であれば年度の始めに教科書を配布するとその後の訂正や追加などはできません。
ただしデジタル教科書であればデータの訂正を再ダウンロードすることで対応できたり、追加問題の配布なども簡単に対応できます。
辞書機能なども持ち合わせることができる
教科書とセットで必要なものとして辞書です。国語辞典、漢字辞典、英和辞典など・・・どれも分厚いものばかりで教科書とは別に持ち運ぶ必要があります。
タブレット端末に辞書データも一緒にセットアップすることで教科書として利用しながらわからない言葉はそのままタブレット辞書をつかって調べることもできます。
分厚い辞書は持ち運ぶのが大変なのはもちろん、調べるときに紙をめくって時間がかかるというのも難点です。その点デジタル辞書であれば持ち運びが楽(他の教科書データと併せてタブレット端末1台のみ)、調べる場合もキーワードを入力すると秒で結果がわかります。
もしかしたらWikiPediaのようにあらかじめ教科書の言葉にリンクがあってクリックするだけで用語説明なんてことになるかもしれません。
オンライン学習などにも対応できる
デジタル教科書だけではなく宿題などはLMS(Learning Management System=学習管理システム)のように自宅でも宿題をやってそのまま自動採点なんてことも可能になります。
先生も宿題の提出を管理する必要がなく、宿題の実施有無は一覧で確認できるようになります。
プログラミングの授業では大活躍
今後プログラミング授業が小学校で必須科目化されますが、タブレット端末があればプログラミング→動作確認が一覧の動作で対応できます。
プログラミング方法を動画で学習し、そのまま部品を使ってプログラミングし、タブレット端末で稼働確認をする!
新しい勉強方法が構築される気がします。
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デジタル教科書のデメリット
デジタル教科書にはうまく使いこなすことで多くのメリットがある話をしました。
ただし使いこなせない・準備ができない場合は以下のようなデメリットもあります。
学校にITインフラの整備が必要
デジタル教科書は基本的に学校で使うことがメインになるはずです。
教科書のダウンロード、動画のストリーミング再生、辞書検索など、多くの人が同時にインターネット回線を利用しますので、それに耐えうるだけのITインフラ整備が必須となります。
近年5G回線も登場してきましたが、日本全国に5Gのアンテナを配置するにはまだまだ時間がかかります。
学校のネットワーク回線が遅いと授業の進み方に影響も出てきますので、安定したITインフラ作りが重要となります。
また万が一ネット回線が故障し、ネットワークが利用できない場合のコンチプランも用意する必要があります。
端末破損時の買い替え負担が大きい
紙教科書の場合、少し破れたくらいや汚れたくらいではその教科書を利用するときのみ我慢することで引き続き利用することができたかもしれません。
デジタル教科書はタブレット端末となるため画面にひび割れが入った場合はもはや教科書として利用することができません。
また全科目でデジタル教科書となるため、どの教科で利用しても同じようにひび割れが邪魔をして画面が見づらくなります。
ましてや子供であれば雑に扱ったり、水をこぼすことで故障の原因を作ってしまうことがあります。
その場合、タブレット端末は教科書に比べて費用が嵩みますのでそこの負担感が利用者への重みにならないかという懸念があります。※タブレット端末を再度購入した場合はデータを全て再ダウンロードする必要があります。
タブレット端末忘れる全教科の忘れになる
これはメリットでも挙げましたが、全科目で同一タブレット端末を使うため教科書の持ち運びが不要としましたが、反対にタブレット端末を忘れると全科目の教科書がないという状態になります。忘れ物はしないようにしましょう!と言いますが、それでも忘れ物がなくなることはありませんので、タブレット端末を忘れた場合の学校側の対応も準備が必要です。
ITリテラシーの向上が必要となる
タブレット端末などのデジタル機器を利用するため、利用方法など細かい使い方や注意点があります。子供が利用するために親が使い方を教える(知っておかないといけない)ようになりますが、ITリテラシーが低いとデジタル教科書としてうまく活用できない場合もあります。
近年ではタブレット端末やスマートフォンの普及により多くの人がタッチパネル操作に抵抗はないものの、端末の設定やネットワークの設定は慣れ・不慣れがあります。
ITリテラシーの重要性
今後プログラミングの必須科目化になり、情報化社会は急加速することを鑑みるとデジタル機器をうまく利用できる人、できない人でデジタルデバイドが発生しそれがそのまま子供教育に反映されるようになります。
近年では子供のプログラミング教室も増えてきて、幼少期から遊びとしてパソコンやタブレット端末を利用して早くから操作になれることが重要と思います。
ITの基礎を学ぶ
IT基礎の学びかた
IT基礎とはパソコンやタブレット端末の基本的な設定方法、用語理解などを指します。
パソコンでもタブレット端末でも多くの設定があり、どこを設定すれば何ができるのかを理解する必要があります。
とにかく自分でたくさん触ってみる
一番簡単な方法は設定画面を開いて上からメニューを開いて触っていくことです。
どこを触るとどこが変わるのかを理解することで設定項目でどんなことができるのかわかるようになります。特にネットワーク設定は難しい用語が出てきますが、恐れずネットで用語の意味を調べながら理解を深めることが大切です。
スクールで勉強する
プログラミングなどは独学で学ぶことはとても難しく根気がいる作業となります。
そこで学びやすい環境で学ぶことで短時間でしっかりしたプログラミングを理解することができます
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まとめ
今後デジタル化が加速する中で教育や医療はオンライン化することのメリットを多いに活用する時代になると思います。
そのためにはしっかりしたITインフラ整備を充実されることか課題となりますが、ITインフラが整うことでデジタル化は一気に進みますので各個人でもITの活用方法などを勉強していく必要があります。